VSMを使ったバリューストリームマネジメントのステップ別ガイド

製品やサービスを提供するための従来のアプローチは、スピードが求められる競争の激しい環境では通用しません。多くの組織が、応答性と納品速度を向上させるためにスクラムやDevOpsといったアジャイル手法を採用していますが、アジャイルが約束する成果を完全に達成するのに苦労しています。

多くの企業がアジリティ面での目標を達成できない一般的な要因として、サイロ化された組織が挙げられます。特定のアジャイルフレームワークを使用することでプロセスを最適化し、個々のチームのアジリティを高めることはできますが、価値が単独のチーム内に提供されることはほとんどありません。

実際、価値は多くの部門横断型チームによって提供されることが最も多いです。効率的で合理化された作業の維持にサイロは必要ですが、これがチーム間のコミュニケーションに影響を与え、市場の変化に応じたビジネスの方向転換を困難にする可能性があります。

組織は、VSMを理解することで、サイロを解消し、継続して価値を提供するために必要なコラボレーションを実現できます。効果的なVSMは、チームが製品提供を加速し、顧客の期待を超え、ビジネスのアジリティをサポートするのに役立ちます。

2021年のビジネスアジリティレポートで説明されているように、「バリューストリームの理解に重点を置くことで、顧客を中心に置いて組織と作業プロセスを設計し、チーム間の引き継ぎを最小限に抑えて価値創造を最大化する」ことができます。

しかし、VSMを使ったマネジメント法とはどのようなものでしょうか。どこで始まり、どのように機能し、組織のアジャイルジャーニーにどう貢献するのでしょうか。Lucidのプロフェッショナルサービス担当シニアディレクター、Jeff Rosenbaughが、この包括的なガイドでこれらの質問に答えます。

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VSMを使ったマネジメント法とは？

VSMを使ったマネジメント法を理解するには、「バリューストリーム」、「VSM・バリューストリームマッピング」、「バリューストリームマネジメント」を定義し、区別することが重要です。

• バリューストリームとは、チームや組織が顧客に価値を提供したり、顧客のニーズに応えたりするために行う一連のアクティビティを指します。
• VSM・バリューストリームマップとは、製品やサービスを顧客に提供するために必要なステップを決定、図解、分析、改善するプロセスです。VSMは、あらゆるプロセスにおける遅延や、非効率的で無駄なステップを明らかにすることもでき、これはリーン哲学の最も重要な原則の一つです。
• VSMを使ったマネジメント法は、顧客要求から顧客価値へのビジネス価値の流れを増やすことに焦点を当てた体系的なアプローチで、市場投入までにかかる時間のスピードアップ、スループットの向上、製品品質の向上、ビジネス成果の最適化を目的としています。

「VSMを使ったマネジメント法は、継続的な改善をより効果的に推進し、顧客価値を高める方法を検討する次のステップです」とRosenbaughは説明します。

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リーン生産方式におけるバリューストリームの起源

製造方法の考え方や用語が、長い移行期間を経てソフトウェアや製品開発の分野に採用されるまでに至りました。「バリューストリーム」という用語は、価値を創造するための材料と情報の流れを表すリーン生産方式運動から生まれました。例えば、顧客が喜んで支払う価値を提供するアクティビティやサービスが、ひとつのバリューストリームとなり得ます。

組立ラインからコードへ

「効率的な生産」といえば、20世紀初頭にヘンリー・フォードの自動車工場で導入された組立ラインを思い浮かべるかもしれません。「リーン生産方式の父」とされるフォードは、業務の効率化、ひいてはより良い製品を生み出すために、自分自身と会社を駆り立てました。大野耐一は、フォードのリーンモデルを手本にしてトヨタの名高い製造方式をさらに改良したと言われています。

組立ラインでの成功の理由は、付加価値を生まない生産工程の部分 (いわゆる「ムダ」) の排除に重点を置いたことです。この生産方式は、非常に効率的で合理化された、収益性の高い製造プロセスを生み出し、その原則はソフトウェア開発のような新しい生産手段にも依然として直結しています。

アジャイルな視点

現代のビジネスのスピードには、アジャイルで適応力のある視点が必要です。DXが進行し、ビジネスの複雑性が増し、ハイブリッド勤務への適応が進む中で、組織は競争力を維持するために必要な人材、プロセス、ツールを全面的に再考する必要があります。

その結果、特に危機の時期にはイノベーションと適応が加速しましたが、不確実性、混乱、生産性と幸福度の低下、燃え尽き症候群もまた発生しました。ビジネスのアジリティと大規模なアジャイルトランスフォーメーションの道のりにおいて、価値が高く影響力のある仕事に焦点を当てることがこれまで以上に重要になっています。

経験豊富なアジャイル主義者の視点からは、アジャイルプラクティスを単に実行することと、アジリティの真の可能性を実現することの間のギャップを埋めるためにはバリューストリームに焦点を当てることが不可欠です。

この視点から、バリューストリームは、価値に焦点を当てることと、規模の経済やコストに焦点を当てることとの間の継続的なシフトに関連しています。簡単に言えば、1ドルあたりに作成できるウィジェットや新機能の数を優先するのではなく、顧客、そして最終的にはビジネスにとってより多くの価値をもたらす更新や開発を優先することです。言い換えれば、アウトプットではなく成果を優先することと考えられます。

バリューストリームは、継続的な改善の文化を築き、チームが混乱を招くような再編成や、速度を低下させることなく、変化する顧客の要件により迅速に対応できるようにします。Rosenbaughが説明するように、目標は常に顧客とビジネスの両方に最大の価値をもたらすことです。

「バリューストリームの概念を受け入れ、それを活用するよう組織を調整し、プロジェクトベースの資金調達モデルから製品ベースの資金調達モデルに移行することが、市場に真に対応できる組織と、単に市場に対応するのに苦労している組織との差別化要因になります。」

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ビジネスアジリティのためのVSMを使ったマネジメント法の利点

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ビジネスアジリティのためのVSMを活用したマネジメントの利点

「器用貧乏は何も極められない」とよく言われます。ビジネスにおいても、あまりに多くのことに手を出しすぎると、提供する価値が薄れ、継続的な成功を妨げる原因となります。

VSM（Value Stream Mapping）を取り入れたマネジメント手法は、リーダーが本当に重要な課題に集中できる環境を整えるための強力なアプローチです。VSMを活用することで、デリバリーシステム全体を俯瞰し、継続的な改善に向けて次のような効果を生み出します。

1. タイム・トゥ・バリュー（価値提供までの時間）の短縮

従来のように部門ごとの効率だけに焦点を当てるのではなく、組織全体の流れを最適化することで、価値提供までの時間を大幅に短縮できます。
バリューストリームを明確に把握し、管理することで、個人やチームは自らの業務を最終的な成果にどう結び付けるかを理解しやすくなります。

2. 無駄の可視化と継続的改善の促進

VSMは、どこで無駄が発生しているかを明確にし、チームがそれを素早く特定・排除できるようにします。このサイクルが定着すれば、改善の好循環が生まれ、混乱は減り、提供する価値は自然と増していきます。

3. 部門横断型チームの連携強化

VSMを使ったマネジメントは、異なる部署のチームが共通の目標に向けて足並みを揃えるのに役立ちます。業務の流れが全体にどのような影響を与えるかを共有できれば、重要度の低い作業を減らし、重複や非効率を排除することが可能になります。
さらに、VSMはフローの滞りや不要な引き継ぎを見直す手助けにもなり、スムーズな連携を促します。

4. システムパフォーマンスの可視化と測定

バリューストリームを構造的に把握することで、経営層は全体像を把握しやすくなり、業績評価指標（KPI）との整合性も高まります。
その結果、パフォーマンスを正確に測定し、改善やリソース配分に関する戦略的判断がしやすくなります。

5. データに基づく投資判断

VSMを初めて導入する多くの組織は、現在の予算配分が必ずしも顧客価値の流れに沿っていないことに気づきます。
今後はプロジェクト単位ではなく、バリューストリーム単位で予算を配分することが重要です。これにより、顧客ニーズの変化に柔軟に対応し、自己組織化されたチームによる協働が実現します。

複数のバリューストリームを持つ場合は、それぞれをマッピング・管理することで、どこに投資すべきかを明確に判断できます。たとえば、あるストリームが高い成果を出していれば、他のストリームでの効率化よりも、そのストリームへの集中投資を優先するのが合理的です。

6. 無駄の排除と効率性の向上

VSMはプロジェクト全体における無駄（例：余計な作業、重複、引き継ぎの遅延、過剰な機能開発、文脈の切り替えなど）を明らかにし、排除するための強力な手段です。
これにより、スループットが向上し、チームの過負荷を軽減しながら、生産性を高めることができます。

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VSMを使ったマネジメント法における一般的な落とし穴

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VSMは一度きりの施策ではなく、継続的改善のためのマネジメントモデルである

バリューストリームは、一度構築して終わりの仕組みではありません。むしろ、継続的な改善やアジャイルな製品開発を支える柔軟なマネジメントモデルの一部として、繰り返し見直され、進化していくものです。

VSM（バリューストリーム・マッピング）を活用したマネジメント手法は、従来の静的な計画とは異なり、変化に適応し続けるための「新しい考え方と働き方」です。よって、単に導入するだけでは不十分であり、継続的な調整・改善を前提とした取り組みが求められます。

VSM導入が進まない理由と、その背景にある心理

組織がバリューストリームの導入や活用に慎重になる背景には、いくつかの共通する要因があります。

1. 現状への混乱を恐れる心理

変化には抵抗がつきものです。特に、バリューストリームの導入により、既存の優先順位のずれや非効率が表面化することを懸念するケースは少なくありません。
VSMは業務の全体像を可視化することで、顧客ニーズへの理解を深め、従来見過ごされていた問題点を明らかにします。これは、リーダーの認識や企業文化に変化をもたらす可能性があり、組織にとっては不安要素となり得ます。

2. 問題の「発見」を恐れる文化

すでに存在しているバリューストリームを可視化し、アジャイルを導入することは、ある意味で「組織の課題に光を当てる行為」です。
これは、一部のリーダーにとっては“リスク”とも捉えられます。しかし、成長志向のリーダーであれば、その発見を前向きに受け止め、継続的改善の原動力とすることができます。

3. 組織の複雑性と出発点の不明瞭さ

伝統的で大規模な組織ほど、業務が複雑に絡み合い、バリューストリームの全体像を描くことが難しく感じられます。
「うちのビジネスには当てはまらない」「どこから始めればよいかわからない」といった声もよく聞かれます。
しかし、実際には、VSMを通じて製品やサービスの過剰な多様化が明らかになり、スリム化や焦点の再定義が可能になるケースもあります。

ソフィスティケーション・バイアス（複雑さへの偏見）

「そんなに簡単なはずがない」という先入観も、VSMの導入を妨げる大きな要因の一つです。
多くのリーダーは、「本当に効果があるなら、すでに誰かがやっているはず」と考え、複雑で高額なソリューションに頼りたがる傾向があります（＝ソフィスティケーション・バイアス）。

しかし、実際のところ、バリューストリームとそれに基づくマネジメント手法は本質的にシンプルです。
基本に忠実に取り組むことで、ビジネス活動の全体像を把握し、効率化が必要なポイントを明確にすることができます。

「簡単に見えること」が、実は難しい

VSMを取り入れることで表面化するのは、多くの場合「複雑な課題」です。しかし、課題を発見すること自体は難しくありません。
本当に難しいのは、「それにどう向き合うか」「どう解決していくか」です。問題の解決には、技術的な困難よりも、しばしば組織的な頑固さが障壁になります。

働き方の変化とVSMの再評価

従来、リーンやアジャイルのアプローチは対面型の職場を前提に設計されてきました。しかし、コロナ禍以降、リモートやハイブリッド勤務が常態化した現在、VSMの実施方法も柔軟に変える必要があります。

現代の職場では、チームが地理的に分散していても連携できるように、バリューストリームはデジタルで適応可能な形でマッピングすることが重要です。これにより、場所にとらわれず、メンバーが共通の目標とアクションアイテムに向けて協働できるようになります。

まとめ

VSMは、一度導入すれば終わりという施策ではありません。現状を可視化し、継続的な改善を進めるための「組織の思考の軸」となるフレームワークです。
その過程で不都合な真実が明らかになることもありますが、それを恐れずに受け入れ、変化に向き合えるリーダーこそが、アジリティのある強い組織をつくることができます。

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バリューストリームで測定すべきこと

バリューストリーム思考では、パフォーマンスを犠牲にせずに顧客への価値の流れに正確に焦点を当てる必要があります。製品を迅速かつ効率的に市場に投入するプレッシャーが高まる中、適切な指標があれば、最も重要なことに集中するのに役立ちます。

VSM後に、業務フローを測定して最適化する方法：

フロー指標は、望ましいビジネス成果に対する価値提供の速度を示します。これらの指標は、機能、欠陥、負債、リスクなど、ビジネスにとって重要な作業単位に基づいて計算されます。

• フロー時間：サイクルタイムとも呼ばれるフロー時間は、作業がどれだけ早く完了し、価値を提供し始めることができるかを測定します。この指標は、プロジェクトの見積もり、リソースの割り当て、ワークフローの改善、効率の向上に重要です。
• フロー速度 (スループット)：一定期間に作業が完了する速度を測定します。この指標は、競合する優先事項を特定し、顧客満足度を向上させるのに役立ちます。
• フロー負荷：特定のバリューストリーム内の進行中の作業量と需要を測定します。この指標は、リソースと優先順位を管理し、使用率が低い、または過剰になっているバリューストリームを特定するのに役立ちます。
• フロー効率：特定のバリューストリーム内のアクティブな作業量と待機時間を測定します。障害、コストの増加、リスク、ワークフローに時間がかかりすぎている場所を特定するのに役立つ指標です。
• フロー分布：前述の4つのフロー指標の比率を測定します。この指標は、優先順位の調整を決定し、品質と生産性を評価するのに役立ちます。

これらのフロー指標を価値、コスト、製品品質、顧客満足度などの望ましいビジネス成果と関連付けることで、行った作業を顧客、ビジネス、収益への影響に結び付けることができます。

バリューストリームを管理することは、ビジネスを管理することと同義です。それを使う方法を次にご紹介します。

VSMを使ったマネジメント法が十分に成熟していないと考える組織も多いですが、これは複雑すぎる見方です。チームは、現状に基づいて簡単な手順を踏むことで、組織での継続的な改善とアジリティの向上の文化を構築し始めることができます。Lucidchartのバリューストリームワークショップテンプレートを使い、以下の手順に沿って行ってみてください。

ステップ1：適切な人を招集

了承を得ることと戦略的な整合性はVSMを使ったマネジメント法の重要な要素であり、どちらを確保する上でも、バリューストリームを計画し、意思決定を行い、優先順位を設定するために適切なメンバーを集めることが必要です。理想的には、リーダーと実務者の両方がこのプロセスに参加すべきです。製品やサービスに関連するアクティビティを担当するリーダーと連携し、研究への協力と改善の支援に取り組んでもらいましょう。

ただし、最初から適切な人材が全員揃っているかどうか心配する必要はありません。VSMを使ったマネジメント法の一部は、プロセスに関する非効率性、盲点、障害、不明点を特定することです。つまり、バリュー管理を開始する過程で、追加の視点や関係者が特定され、参加してもらう必要が出てくる可能性があります。Rosenbaughによれば、目標は完璧さではなく進歩にあります。

「VSMはコラボレーション要素の強いアクティビティで、ふさわしい人材が集まるとは限りません。会話を続け、知らないことを明らかにすることが大切です。時間はかかりますが、その価値はあります。」

ステップ2：バリューストリームをブレインストーミングする

研究して改善したい製品やサービスを特定します。組織にはおそらく複数のバリューストリームがあるので、協力してできるだけ多くのアイデアを出しましょう。これには、「顧客にサービス料金を請求する」や「新製品を市場に投入する」といったアクティビティが含まれる可能性があります。

ステップ3：マッピングするバリューストリームを選ぶ

ブレインストーミングから1つのバリューストリームを選び、現状のままの主要なステップをマッピングします。目的は、欠点や長所も含めて現状のプロセスを理解することです。

細かいタスクにとらわれず、ビジネスを説明する上で意味のあるレベルに焦点を当てます。上部の階層から始めると、スムーズかつ効率的に実行されている領域と、改善できる領域を特定しやすくなります。

ステップ4：誰が何を担当しているかを特定する

マップに各ステップを担当する個人やチームを記録し、部門横断型チームが迅速に価値を提供するための役割と責任を理解できるようにします。

ステップ5：追跡、分析、改善点の特定を開始する

バリューストリームが完全にマッピングされたら、フロー指標の分析と追跡を開始できます。データを使用してVSMを振り返り、バリューストリームマネジメントプロセスを開始する前に気づかなかった、または予想していなかったことを特定します。プロセスの無駄な時間、長いサイクルタイム、またはやり直しにつながる品質問題を継続的に特定します。

入手したデータを使用して改善の機会を特定します。次の質問をしてみましょう。

• 現在機能していない箇所は？
• どうすれば引き継ぎを減らせるか？
• 部門間の連携をうまく進めるにはどうすればよいか？

長期的な目標とビジョンを設定し、よりスリムで効果的なプロセスにつながる項目の目標を示す、理想的な状態のVSMを描きます。関係者とプロジェクトリーダーをこのビジョンに合わせ、コミュニケーション、ガイド、作業の最適化を継続します。

ステップ6：継続的な改善

一貫性があり、繰り返し利用できる実装計画を作成して実行することで、継続的な改善への道を切り開きます。アクションアイテムを具体的にして、確実に実行できるようにします。つまり、変更を実施する責任者、実施時期、効果を測定するための成功基準と測定基準を特定します。

特にチームが分散して勤務する場合、共有のオンラインスペースにバリューストリームと改善計画を文書化することが有用です。これにより、説明責任が確保され、すべてのチームと関係者が、進行中のバリューストリームマネジメントプロセスを通じて行われた進捗と反復について一致した状態を保つことができます。

バリューストリームマネジメントに役立つツール

ビジネスプロセスの理解を深めるため、多くの組織は、現状のビジネスに深いインサイトが得られるという期待から、VSMソフトウェアを導入しています。実際には、これらのツールが明らかにすると約束されていることの多くは、従業員を集めてバリューストリームを特定してマッピングするだけで、より明確に理解できます。

「ほとんどの組織は、プロセスの可視化を開始した時点で、どこに無駄があるのかをすでに把握しています」とRosenbaughは言います。「リーダーは、このプロセスを通じて発見したことにすでに圧倒されている可能性が高いため、これらの高度なツールに投資する必要はありません。」

こういったツールによって、VSMを使ったマネジメント法の基本や基盤となるバリューストリームマップから気が逸れてしまう可能性があります。

LucidchartのVSMソフトウェアは、あらゆるプロセスを可視化し最適化するために設計されています。生産と情報の流れをよりよく理解し、無駄や非効率性を排除して付加価値を高め、部門間でバリューストリームを共有し、既存の業務フローと連携することができます。

まとめのヒント

シンプルに始めましょう。最初は、洗練されたVSMの作成にこだわりすぎないことが大切です。この段階では、学びや情報を共有し、適応することが重要です。最初のバリューストリームは手書きでスケッチするか、インテリジェントな作図ソフトを使ってコラボレーションすれば、チームの方向性を合わせ、さまざまなバージョンのバリューストリームを記録できます。

最終製品や顧客体験からその起源まで、バリューストリームを逆にマッピングしてみてください。多くのベテランのVSM実践者は逆方向で作業します。この視点から見ると、摩擦のポイントがさらに明確になり、意味をもつようになることがあります。

学んだことを恐れないように。多くのリーダーは、バリューストリームを発見する過程で明らかになる問題から目を背けがちです。例えば、組織設計に多くの依存関係や引き継ぎが組み込まれていることに気づくかもしれません。このような不快な現実から逃げるのではなく、この情報を活用して、今後の意思決定の改善に役立てましょう。

過程を楽しみましょう。バリューストリームを特定する際には、改善を進め、変更を試みる中で、さらに多くのことを学び、解き明かしていくことを理解して取り組みます。この考え方は、バリューストリームを中心に再編成を考える際に特に重要です。完全に再編成する前に「臨時チーム」でテストしてみるといいでしょう。

VSMは生きた文書として扱います。学び、変更を加え、各変更が時間の経過とともにバリューストリームにどのような影響を与えるかを見直してください。取り入れる適用事項について文書化することで、バリューストリームがどのように進化し、現在どのような状態にあるのかが、自分自身やコンテキストを必要とする他のチームメンバーや関係者に明確になります。このアプローチは、ビジネスを体系的に考え、常に改善するために幅広いコントロールが与えられます。

理由を問います。「なぜ」と問い続けましょう。リーンシックスシグマでは、なぜなぜ分析とも呼ばれます。あるものが現在の方法で行われる理由を問い続け、仮定を避けます。問題や行動の根本原因にたどり着くまで、このプロセスを続けます。