
ビジネスプロセス改善のためのステップ別ガイド
読み取り時間 : 約14分
目次
あらゆるプロセス改善は、組織の日常業務の効率を高めるというただひとつの目標によって推進されます。この目標を達成するため、チームは通常、プロセス内の無駄な作業を特定し、表面下に潜む非効率、ボトルネックや冗長性を取り除くことから始めます。
ただ、本当の課題は問題が何かを特定することではなく、プロセス改善の実装方法を決めることにあります。
企業がプロセス改善策に取り組む際に最も犯しやすい間違いはどのようなもので、これを回避するにはどうすればよいでしょうか。プロセス改善のプロジェクトを開始し、成果の測定で価値をさらに高めるには、また、対症療法ではなく、継続的改善の観点からプロセス改善について考えるようチームに促すにはどうすべきでしょうか。
この記事では、そうした疑問への回答をお届けします。
基盤を構築 : プロセス改善の手法
ほとんどの企業は、プロセスの改善や管理の手法を導入することでこうした課題に取り組んでいます。最も人気の手法には以下のようなものがあります。
- リーンシックスシグマ : ムダの削減を目指すリーン原則と欠陥の低減を目指すシックスシグマを組み合わせたフレームワークです。
- アジャイル方法論 : プロジェクトをフェーズに分割し、迅速なフィードバックループと反復を促進して、継続的なコラボレーションと改善を促進することを中心とする方法論です。
- ビジネスプロセス管理 (BPM): 効率、有効性、継続的改善に焦点を当て、組織のプロセスの最 適化と管理を行う体系的なアプローチです。
- リーン製造 : ムダを最小限に抑え、生産プロセスを合理化し、顧客満足度を重視することで価値を最大化することを目指します。
- 制約条件の理論 : システム内のボトルネックや制約を特定して対処し、全体的な生産性とパフォーマンスを向上させる管理哲学です。
これらの手法を取り入れることで結果的に成功することもありますが、あらゆる組織に単独で効く万能の手法はありません。単一の方法論に全面的に依存すると、非効率が生じ、ワークフローが遵守されない場合に関係者が苛立つ可能性があります。
これらの手法の1つが非常にフィットし、完璧に機能する包括的な解決策となる組織もあれば、いくつかのアプローチを組み合わせる方が効果的な組織もあるでしょう。したがって、チームの成功に必要な要素は何か、また、こうした方法論を組み合わせて組織に最適な解決策を生み出す方法はないか、十分検討することをお勧めします。

特定の方法論を実装すべきか、フレームワークの一部を実装すべきかの判断が難しい場合は、こんな方法を参考にしてみましょう。
- 目標を特定する : 行き先が分かっていれば、どこから始めればよいかも分かりやすくなります。目標を特定すると、その目標を達成するための適切なフレームワークの選択に役立ちます。
- ボトルネックを明確にする : 障害を明確にすることで、理想的な方法論を選択し、障害を解消するために何を組み込めばよいかを把握しやすくなります。
- チームからフィードバックを収集する : メンバーに最初にプロセスをテストしてもらい、どんな改善が見られるかを報告してもらうことで、フィードバックと定量的なデータを集められ、現在や過去のプロセスの実情を評価しやすくなります。
ビジネスプロセスの改善で陥りがちな5つの落とし穴 (とそれを避ける方法)
当社は、内部プロセスの改善とお客様の改善への取り組みの支援に全力で取り組む中で、プロセス改善プロジェクトの挫折を招く最も一般的な落とし穴を5つ発見しました。こうした落とし穴を認識しておけば、潜在的な障害を回避でき、次のプロセス改善の取り組みに着手する前の準備段階にも役立ちます。

1. データによる裏付けの欠如
プロセス改善のアイデアを取りまとめるため、リーダーは全員参加のアプローチをとりがちですが、決定の道筋を示し、検証するにはデータの裏付けが必要です。データが存在する場合でも、複雑なスプレッドシートに埋もれていることが多く、こうした場合は有意義な洞察の抽出が困難になります。
チームメンバーが集まると、改善するプロセスとその方法についてさまざまなアイデアが出てきますが、問題は、こうしたアイデアをすべて実装した場合の影響を測定するのが難しく、優先順位を付けるのはさらに難しいということです。
なんとなく皆の意見を求めるのではなく、プロセスを測定し、データを分析して、無駄を排除し、ワークフローを最適化できる箇所がどこにあるかを判断する必要があります。

そうすれば、チームメンバーが会議中に自分のアイデアに耳を傾けてもらえないと感じることもなくなり、データに基づいてアイデアに優先順位を付け、明確な行動計画を作成できます。

ここで気を付けたいのが、各プロセスの成功の尺度です。例えば、特定のプロセス改善プロジェクトの完了までに時間がかかりすぎることをどうすれば把握でき、チームは優先すべきタスクをどうすれば把握できるでしょうか。プロセスの成功とは具体的にどんな状態を指し、どのようにそれを測定するかを特定することで、こうした疑問に答えられます。
改善すべきプロセスを特定するには、リーダーは過去のプロジェクトのデータを分析し、主要な指標に照らしてパフォーマンスを測定することから始める必要があります。これらの測定基準には、効率性、生産性、サイクルタイム、ターンアラウンドタイム、有効性、キャパシティ、適時性などが含まれます。
SMART (具体的、測定可能、達成可能、関連性、時間ベース) 手法を使用して、特定した指標に関連付けられた達成可能かつ定量化可能な目標を作成します。達成可能な目標を設定すると、チームメンバーにとっての可視性が高まります。
収集したデータをベースラインとして設定し、実行可能な目標を目安として使用すると、基準からの逸脱が発生したときにも気づきやすくなります。こうした知識と可視性により、リーダーはチームに課題を提起し、そうした課題解決のための測定可能なオプションを提供できるようになります。
2. 運用時の視野の狭さ
個々のチームが単独で内部プロセスの改善を試みることもありますが、これは誤りで、こうしたアプローチには、チーム内のプロセスの改善が関連する他のチームや部門にどう影響するかが見えず、可視性が制限され、成果の測定が困難になるという問題があります。
プロセスの改善には、一チームの視点にとどまらず、体系的な視点から取り組むことが不可欠です。幅広い視点を持つこ とで、複数のチームがプロセスの妨げとなる要因や障害を特定し、対処することができます。仮にひとつのグループで効率が向上しても、最終的な成果の達成につながらなければ意味はありません。
Lucid の特徴は、データ主導のビジュアライゼーションへの取り組みにあります。ビジュアルは世界共通言語として機能し、コミュニケーションを強化します。Lucid の可視化機能により、チームは大規模なシステム内でのそれぞれの位置を把握しやすくなり、こうした可視性の向上が、プロセス改善において大きな変革をもたらします。

3. 将来像の欠如
現状をマッピングするプロセスは、システムで問題となる点を特定する上で非常に重要ですが(最初に考えていたことが途中で変わる可能性もあるため)、過去にばかり囚われたくはないものです。また、何をどのように変える必要があるのかを理解するため、チームに明確な将来像を示すことも重要です。
この問題を軽減するには、まず将来の状態のマッピングから始めましょう。最初に未来の状態をマッピングすることに集中すれば、成功につながる文書が作 れます。将来の状態を示すその文書が、チームにとっての動かぬ目印として機能し、プロジェクトを通じて全員を導き、あらゆる取り組みを未来の成功のビジョンに合わせて調整できるようになります。
理想的なプロセスを明確に描くことができれば、作成した将来の状態と現状において一致しない領域を特定しやすくなる場合があります。
まさに「終わりを思い描くことから始める」という有名な一節のとおりですが、この時代を超えたアドバイスはビジネスプロセスの改善にも当てはまります。

役立つヒント : プロセスの将来の状態を効果的にマッピングするには、まずプロセス改善の目標を明確にします。こうすることで、ワークフローの変更で達成しようとしていることが明白になり、将来の状態に関する決定の指針となります。作業をスタートするにはこれらの目標設定テ ンプレートを使ってみましょう。
4. プロセスの改善が後手に回る
プロセス改善が待ったなしの状況になるまで放置せずに、現在の状態の文書化を始めましょう。文書化に積極的に取り組み、現在の状態を把握することは、プロセス改善プロジェクトの一貫ではなく、継続的な作業と捉えるべきです。
また、チームが新機能のリリースや販売終了に対応する際に進行中のワークフローを文書化するのもよいでしょう。作業に加えてプロセス自体を成果物とすることで、すべてを具体的な例を踏まえて記録することができます。
5. 間違ったタイミングで間違った人を巻き込む
プロジェクトを進歩させるには、適切なメンバーを適切なタイミングで参加させることが必須ですが、そうしたメンバーの見極めは実際にはそう簡単ではありません。標準的なガイドラインでは、改善プロジェクトのプロセスに最も近いメンバーを参加させるべきとあり、確かにそのとおりですが、現実には難しいこともあるでしょう。
現在のプロセスを熟知している人は、最も正確な視点を提供し、究極の真の情報源に最も近い立場にあるため、現在の状態をマッピングする際に非常に貴重な存在となります。
ただし、将来のプロセスのあり方を形作る際には、マネジメントチームが主導権を握り、包括的なビジョンを策定し、チームの障害を取り除いて、そうしたビジョンを明確にすることを目指すべきです。
プロセスの将来の状態をプロセスの中で実際 に働くメンバーと協力して作り上げることで、こうした目標をすべて達成し、チームの明確なビジョンと行動計画を作成することができます。
結果として、チームメンバーには明確な指針ができ、サポートと支援を受けていると感じられるはずです。
実際にプロセスを改善するための3つのステップ
従業員に既存のプロセスの改善を求めると、好意的な反応はないかもしれませんが、これも当然ではあります。
とりわけ、実際には何の役にも立たない無意味なプロセス改善プロジェクトだとチームが感じる場合、また、変化につながったとしても、成果が測定されず、その影響を定量化する方法がない場合などは、プロセス改善の取り組みが現実の業務に対する障壁のように感じられるかもしれません。
こうした不満は回避できます。以下の3つのステップでは、プロセス改善のプロセス、つまり実際にプロセスを改善し、チームの作業をスムーズにし、不満を軽減し、障害を取り除き、全員のワークフローを改善する方法に焦点を当てています。

1. アイデア出しと計画
落とし穴のセクションで説明したように、チームは、アイデア出しの段階で現在のプロセスに囚われて行き詰まりがちです。この段階で行き詰まってしまうと、現状のマップの無数の下書きが散乱し、現状改善の方法を描き出そうとする方 向性のない会議が延々続くことになりかねません。こうした会議を行う代わりに、プロセスの将来のビジョンに基づいてアイデア出しセッションを進め、現在の状態を明確にするのがよいでしょう。
アイデア出しセッションの生産性を上げるには、チーム全員を集めて将来のビジョンを明確にします。この会議はマネジメントチームが指揮し、チームが理想的な状態を作り出す上での妨げとなる障害を取り除くよう努めます。

アイデア出しセッションは、チームに対して、あるべき成功の姿、このプロセスにおける目標、プロセスで達成したいことやその理由を尋ねることから始めます。こうした問いかけにより、生産的で前向きな議論に火がつき、プロセスの将来の状態を示す強力かつ正確な設計図ができていく可能性があります。

マネジメントチームが障害を特定する際には、潜在的な障害を視覚化し、全体像を念頭に置きます。
チームがプロセス改善プロジェクトに取り組むときに犯しやすい最も一般的な間違いに、狭い視点からプロジェクトに取り組むことが挙げられます。チームがシステムそのものではなく、部門内の独自のプロセスのみを改善しようとすると、プロセスの組織全体への適合性が見えなくなります。システムの改善に集中する際は、改善を目指すチームとプロセスが組織全体の枠組みにどう適合するかを考慮する必要があります。
2. 設計と構築
最も重要な側面の設計と構築に移ります。チームは通常、現在や将来の状態に関する文書を単一の静的な文書として捉えますが、これでは視野が狭く、プロセス改善の効果を効果的に把握できません。代わりに、レイヤーを使って作業するのがおすすめです。
レイヤーは、手順の概要と各ステップのより詳細な内訳を見やすく提示できるため、設計プロセスで極めて重要な役割を果たします。単一の文書内の別のページでそれぞれが作業し、ペー ジを相互リンクして新しいプロセスを動的に表現できる使いやすいプラットフォームを選びましょう。

Lucid では、統一された無限のキャンバス上でレイヤーをシームレスに操作し、文書内に個別のページを作成できます。この機能は、理解と反復的な改善を強化する普遍的なツールであるビジュアルを使用して Lucid でプロセスを構築する際に特に役立ちます。
その他にも、Lucid には、チームメンバーへのタグ付けやメンション、ボード上に直接付箋を追加して重要な情報を強調する機能、高次的な概要と詳細な情報の切り替え、文書内での投票セッションの直接開催、誰とでも文書を簡単に共有できる機能など、優れたコラボレーションを実現する機能が揃っています。Lucid のプラットフォームでは、ダイナミック図形、条件付き書式、データリンクなどを使って美しくインタラクティブなデザインを構築できます。
3. 開始と監視
新しいワークフローの開始や既存のワークフローの更新の際には、プロセス改善過程で作成した文書を保存する必要があります。こうした文書があれば、革新的な意思決定、アイデア出しのプロセス、設計の反復、成果の追跡ダッシュボードなど、常時更新される設計図として機能する文書リポジトリを構築できます。
プロセス改善の開始と監視の段階では、ワークフローを自動化する機会を積極的に探します。手作業で文書を作成し、データを追跡するのは面倒な作業で、間違いが発生する可能性があります。
代わりに、文書を自動で最新状態に保ち、絶えず可視性を保証するインテリジェントな機能が備わったプラットフォームを活用するのがベストです。特定のステップにかかる時間を示すデータを他のシステムから取得できる機能もあればよいでしょう。こうした機能があれば、リーダーはプロセスと進捗状況をリアルタイムで把握できます。
Lucid を使用してプロセス改善のビジュアルを作成すれば、イノベーションリポジトリに自動でビジュアルが追加されるため、Lucid はこうしたプロセスにおいても最適なソリューションといえます。
Lucid のプラットフォーム内で高度にインテリジェントなビジュアルを作成すれば、プロセスの最適化にどう取り組んだのかを示す常時更新の設計図が自動で出来上がります。この文書があれば、成功した戦略の再現、フィードバックに基づく反復、新入社員の研修、意思決定の背景の提供などもスムーズです。

プロセス改善の理想的なパートナー、Lucid
ビジュアル、インテリジェンス、データ、自動化の強固な基盤を備えた Lucid は、チームが革新的なプロセスを構築して最適化できるようにする上で最適なパートナーとなります。
お問い合わせLucid
Lucid Software は、チームが将来を見据え、築くための支援に特化したビジュアルコラボレーションの先駆者でありリーダーです。その製品である Lucidchart、Lucidspark、Lucidscale を活用することで、チームはアイデア出しから実行に至るまで共通のビジョンを抱き、複雑な内容も分かりやすく理解できるビジュアル主体のコミュニケーションをあらゆる場所から実現できるようになります。Lucid は、Google、GE、NBC Universal などの顧客や、Fortune 500 企業の 99% を始めとする世界中の主要企業にサービスを提供しています。Lucid は、Google、Atlassian、Microsoft などの業界の主要企業と提携しており、創業以来、製品、事業内容と企業文化を称える各種の賞を多数受賞しています。詳細は lucid.co を参照してください。
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