イノベーションフレームワーク

【完全ガイド】イノベーションフレームワークを使用してアイデアを行動に移す方法

読み取り時間 : 約16分

トピック :

    目次

    • イノベーションフレームワークとは?
    • イノベーションフレームワークの仕組み
    • イノベーションフレームワークの段階
    • イノベーションフレームワークのメリット

    ほとんどの組織は、より高速化する変化に先んじることの重要性を思い出させるピーター・ドラッカーの造語「イノベーションか死か」の必要性を強く認識しています。製品のイノベーションが組織の成功にとって重要であることは明らかですが、実際にイノベーションを起こすとなると、進むべき道は必ずしも明確ではありません。

    イノベーションの方法を理解していないと、多くのチームはよいアイデアが自然に浮かぶのを受動的に待つことになります。ここで重要なのは、真に革新的な組織は、イノベーションをそうして運任せにすることはできないことを知っているということです。組織がイノベーションプロセスの背後に戦略を効果的に導入するには、イノベーションフレームワークが役立ちます。

    イノベーションフレームワークとは?

    イノベーションフレームワークとは、組織がアイデアを生成し、それらのアイデアを評価し、最良のアイデアをビジネス上の付加価値に変えるのに役立つ一連の基本的な慣行とツールです。これによりイノベーションプロセスの一般的な手順を分かりやすい段階に整理することができ、リーダーが方向転換するか、一時停止するか、業務への資金提供を継続するかを決定するのに役立ちます。

    イノベーションフレームワークは、決まった結果を伴う規範的な公式には従わないという点で、他の多くのビジネスプロセスとは異なります。

    例えば、「顧客への請求」のようなプロセスには、明確に定義された手順、役割、成果物があります。しかし、イノベーションフレームワークは規範的ではなく、透明性、一貫したマイルストーン、明確な進路を生み出すのに最低限の構造を提供するとともに、全体的な方向性に影響を与えるような新生のアイデアやデータに対して十分な余地を残すことを意図しています。

    イノベーションのプロセス
    イノベーションは決して一歩道ではなく、行き先のわからない反復的なものです。その過程の一つ一つのステップが、学び、方向転換し、可能な限り最高の結果に向けて取り組む機会となります。

    デザイン思考、アジャイル、リーンなど、組織が製品イノベーションをサポートするために選択できるフレームワークは数多くあります。ただし、これらのフレームワークのほとんどはイノベーションプロセスの一部のみを対象としており、どこから始めるべきか、いつやめるべきか、次にどのようなステップを踏むべきかはチームが自分たちで判断する必要があります。

    Lucid のイノベーションフレームワークは、Lucid のプロフェッショナルサービス担当シニアディレクターである Jeff Rosenbaugh と Lucid のプロフェッショナルサービス主任コンサルタントである Christopher Bailey により設計されたもので、個々のフレームワークを統合してイノベーションプロセス全体に通底する構造を提供します。

    過去10年間、組織のイノベーションパイプラインの構築を支援してきた両氏は、リーダーが既存のビジネスプロセスに簡単に統合し、コンセプトから収益化へと完全移行できるフレームワークとして最も効果的だと考えたものをまとめました。

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    Lucid のイノベーションフレームワークの仕組み

    Lucid のイノベーションフレームワークは構想、検証、成長の3つの主要フェーズに分かれています。各フェーズには段階が含まれ、各段階で試すことができる一連のテンプレートとツールが含まれています。

    イノベーションフレームワークの各フェーズには明確な目標があります。

    1. 構想 : フレームワークの第1段階の目標は、問題と解決策の適合性を特定することです。これは、顧客 (または顧客の一部) が、解決する価値のある問題を抱えており、提案するソリューションがそうした問題を解決できる可能性があることを証明することを意味します。

    コンセプトピッチを作成できたら、次のフェーズに進む準備は完了です。コンセプトピッチでは、学んだことを実証し、さらなる学びのために製品を顧客に試用してもらう必要性を正当化し、次のフェーズに進むために必要なサポートのレベル (資金や人員など) を詳しく説明する必要があります。

    2. 検証 : フレームワークの第2段階では、製品と市場の適合性を特定します。この検証段階の目標は、ソリューションが顧客の問題を解決するだけでなく、成長市場の機会があることを証明することです。

    最終段階に進む前に、検証用のピッチを作成して関係者と共有します。検証用のピッチでは、実験結果を示し、製品市場への適合性を示し、最終段階に進むために必要なサポートを詳説する必要があります。

    3. 成長 : 成長段階では、新しい製品やサービスをより広範な市場にどう提供するかの決定に重点を置きます。この段階には、必要なすべての変動要素を実現するのに役立つさまざまなスケーリング手法が含まれます。

    注 : 従うべき段階と手順はたしかにありますが、学習と反復を可能にするため、フレームワークには逆方向の動作も組み込まれています。必要に応じて、自由にフェーズを繰り返したり、プロセスに戻ったり、フレームワークをカスタマイズしたりできます。

    このフレームワークは Lucidspark で設計されているため、チームや関係者と簡単に共有したり、テンプレートに直接メモを記録したり、チャット、コメント、投票、絵文字リアクションなどの共同機能を利用したりできます。

    新しいチャンスが見つかるたびにこのテンプレートを使用すると、すべてのアイデア、反復、学習の生きた記録が集まるイノベーションリポジトリが自然にでき上がります。このリポジトリを使用して、チームにコンテキストを提供し、製品ポートフォリオを簡単に視覚化できます。

    イノベーションフレームワーク
    画像をクリックすると Lucid のイノベーションフレームワークにジャンプします。

    イノベーションフレームワークの5つの段階

    イノベーションフレームワークの5つの段階は、最初の問題の特定から完全なソリューションの市場投入までの論理的な順序に従います。

    段階1 : 学習

    最初の段階の目標は、顧客が解決しようとしている問題を理解することです。学習の段階が終わるまでに、顧客像、顧客が抱えている問題、現在それをどう解決しようとしているかをしっかりと理解できるようになります。Bailey は、調査の際、以下の重要な違いを念頭に置くことを推奨しています。

    「多くのチームは、この段階で製品チームやサービスチームとして解決すべき問題を理解することが重要だと誤解しています。しかし本当に重要なのは、顧客が解決しようとしている問題を理解することです。」

    この段階では、次のことを行います。

    • 研究計画の立案。計画では、問題の最初の理解、顧客調査の目標、調査の実施方法を詳説する必要があります。
    • データの収集と集計。調査計画に基づき、顧客とその問題点に関するデータを収集します。アンケートビルダーをガイドとして使用するほか、ユーザー観察テンプレートに直接メモを記入することもできます。「どうすれば~できる?」テンプレートは、偏りのない質問をするのに役立ちます。
    • 視覚的な成果物の生成。ペルソナジャーニーマップなどの成果物を作成し、収集したデータを視覚的に統合し、理解を検証します。次の段階に進むときにこれらの文書を手元に置いておけば、学習を続けながら随時文書を変更していけます。
    カスタマージャーニーマップテンプレート
    データをカスタマージャーニーマップに統合します。

    段階2 : アイデアを出す

    問題をよりよく理解できたところで、次はソリューションを見つけるためにできるだけ広く間口を開いてみましょう。ここでの目標は、創造的思考を促進して幅広いソリューションを生成し (発散)、次の段階でテストするアイデアに優先順位を付ける (収束) ことです。

    「この段階は選択プロセスとして考えるのではなく、優先順位付けプロセスとして考えるべきです」と Bailey は言います。「これは、ソリューションに夢中にならずに、問題に集中し続ける上で重要です。」

    この段階では、次のことを行います。

    • アイデアのスコープの計画。アイデアを出し始める前に、時間をかけてアイデア戦略を立てます。具体的には、アイデア作成セッションのガイドに役立つパラメーターを設定し、結果を定義します。
    • 候補となるソリューションのブレインストーミング。創造的な思考を促すため、制約条件ワールドエクスプローラー作り込みなどのテンプレートを使ってみましょう。制約条件はアイデアを制限するように思えますが、実際にはその逆で、アイデアのパラメーターを提供することで、チームメンバーは視野を広げ、他の方法では考えられない方法でソリューションを探さなければならなくなります。
    • テストするアイデアの優先順位付け。アイデアのリストを、次の段階へ進めたいアイデアに絞り込みます。実行可能 (ビジネスに利益をもたらす可能性がある) で望ましい (顧客が望んでいる、または必要としている) アイデアに焦点を当てます。
    制約条件テンプレート
    制約条件テンプレートを使って、創造的なアイデアを生み出します。

    段階3 : プロトタイプとテスト

    構想フェーズの最終段階であるプロトタイプとテストでは、以前にブレインストーミングしたアイデアに関するインプットとデータを収集します。目標は、顧客の問題に対する潜在的なソリューションを手頃にテストすることです。

    この段階では、次のことを行います。

    • プロトタイプの構築とテスト。アイデア出しの段階でブレインストーミングしたソリューションの優先リストを使用し、忠実度の低いプロトタイプを作成してアイデアをテストします。GIF ストーリーボードワイヤーフレーミングのテンプレートが役立ちます。その他のワイヤーフレームオプションについては、Lucidchart のテンプレートライブラリを参照してください。
    • 初期の顧客データの収集。次の段階に進むための最適なソリューションを特定するには、顧客に以前の経験に基づいた具体的な質問をします。例えば、「この商品を使うと思いますか?」と聞く代わりに「過去1週間で、この製品が仕事に役立ったと思うのはいつですか?」と尋ねます。
    回転デスクトップワイヤーフレームテンプレート
    ワイヤーフレームテンプレートを使用してチームと共同でプロトタイプを作成します。

    段階4 : 反復

    反復の段階では、チームは製品やサービスの構築を開始し、製品と市場の適合性を検証するために厳密な実験を実施します。まず、顧客が使用できる実用最小限の製品 (MVP) と呼ばれる最小バージョンの製品を構築し、学習しながら徐々に追加していきます。

    「すぐにでも完全な製品を作りたいという欲求は自然なことですが、学ぶことはたくさんあり、学習を重視しないチームは見た目はよくとも、顧客が実際に必要としているわけではない製品を作ることになることがよくあります」と Bailey は説明します。

    この段階では、次のことを行います。

    • 重要な仮定の把握重要な仮定テンプレートを使用して、ソリューションの成功に向けてどのような前提条件が当てはまるかを判断します。このようなリスクの高い仮定に基づき、MVP と実験を構築します。
    • 実験、学習、反復。この段階では、ほとんどの時間を実験の構築、仮説のテスト、製品の反復に費やします。効果的な実験を設計するために実験マップ「構築」と「学び」カードを使用します。
    • 実際のデータの収集。繰り返しますが、この段階の目標は実際の指標を収集するにあります。顧客の主観的な好き嫌いではなく、データに依拠することで、投資リスクを確実に軽減することができます。イノベーション会計テンプレートで強力な指標を作成しましょう。
    実験マップのテンプレート
    この実験マップテンプレートを使って、最も重要な仮説をテスト・検証します。

    段階5 : スケーリング

    最初の4つの段階では主にソリューション自体に焦点を当てましたが、スケーリングの段階では、製品やサービスを市場で維持するために必要なその他すべてのものを組織化することが重要です。この段階は非常に部門横断的であるため、多くの異なるチームを調整する必要があります。

    「ここで一歩下がって市場の全体像を把握し、長期的な成功に向けた計画を立てる必要があります」と Rosenbaugh は説明します。

    この段階では、次のことを行います。

    • 顧客セグメントの明確化。顧客セグメンテーションテンプレートでさまざまなセグメントに優先順位を付けます。顧客を業界、ライフスタイル、行動などの要素によってセグメント化できます。次に、ニーズ、市場規模、その他の特性に基づいて各セグメントをランク付けします。
    • 市場参入計画の立案。顧客にリーチする方法についての計画がなければ、製品の売上は限定的なものになります。ビジネスモデルキャンバスを使用して、価値提案を固め、コスト構造を明確にし、収益源を特定します。次に、需要創出戦略テンプレートで新製品やサービスの需要を創出するために使用する戦術とチャネルを決定します。
    • 長期サポートの適切なレベルの決定。サポート移行計画を使い、新製品やサービスを長期にわたって維持するために必要なリソースを決定します。具体的には、人員、予算、カスタマーサポートのニーズ、資材、技術、スキルトレーニングなどを詳細に検討します。
    需要創出戦略テンプレート
    需要創造戦略テンプレートで、新しい製品やサービスのマーケティングプランを作成します。

    Lucid のフレームワークをイノベーションに活用するメリット

    イノベーションフレームワークは、イノベーションを偶発的に生じるものからビジネスに不可欠なものへと変えるのに役立ちます。Lucid のイノベーションフレームワークは、次の点で組織にメリットをもたらします。

    • リーダーがイノベーションに段階的に投資するのを可能にする。イノベーションフレームワークの構造には反復が自然に組み込まれているので、リーダーは多額の先行投資ではなく、少額から投資を始められるようになります。「このモデルはデータの学習と収集に対する意思決定に焦点を置くため、リーダーは反復のたびに投資リスクを軽減できます」と Bailey は語ります。
    • 顧客に焦点を当てる。ガイダンスなしでイノベーションを起こすようにプレッシャーをかけられたチームには創造的なアイデアが大量に浮かぶものの、それらが必ずしも顧客の役に立つアイデアであるとは限りません。Lucid のイノベーションフレームワークは、アイデア創出セッションに構造を提供し、チームが創造性を発揮して実際の顧客の問題を解決できるよう支援します。
    • アイデアに関する関係者の支持を得るのに役立つ。このイノベーションフレームワークを使用すると、主要なステップとマイルストーンを備えたイノベーション計画があることを関係者に示すことができます。「分かりやすいビジュアルなので、イノベーションの取り組みへの賛同を得やすく、成功率が高まります」と Rosenbaugh は言います。
    • ビジネス全体でイノベーションを民主化する。イノベーションフレームワークは柔軟性に富み、テクノロジーだけでなくビジネスのあらゆる側面に適用できます。社内営業プロセスの改善から新しいオンボーディングワークフローの構築に至るまで、すべてのチームが必要に応じてフレームワークを適応・拡張して、作業方法を改善できます。
    • 従業員のエンゲージメントが向上する。ほとんどの従業員は、自分のアイデアが重要であり、影響力があることを実証したいと考えています。Lucid のイノベーションフレームワークは、チームがアイデアを提供し、そのアイデアを実現するための明確な手段を提供します。

    Lucid ビジュアルコラボレーションスイートでイノベーションをスケーリング

    意図的な努力と従うべきフレームワークがあれば、組織内でイノベーションを継続的に発生させることができます。イノベーションに必要な継続的なコラボレーションと調整を実現するには、適切なツールが必要です。

    Lucid スイートのようなビジュアルコラボレーションソフトウェアは、世界中のあらゆる場所から参加しながら、チームメンバーが協力してアイデアを出し、計画、設計、構築、立ち上げを行うのに必要なスペースを提供します。Lucidspark のバーチャルホワイトボードと Lucidchart のインテリジェントな作図機能の組み合わせで、組織はイノベーションプロセス全体を一元化することができます。

    Lucid チームスペース

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    Lucid について

    Lucid Software は、チームが将来を見据え、築くための支援に特化したビジュアルコラボレーションの先駆者でありリーダーです。その製品である Lucidchart、Lucidspark、Lucidscale を活用することで、チームはアイデア出しから実行に至るまで共通のビジョンを抱き、複雑な内容も分かりやすく理解できるビジュアル主体のコミュニケーションをあらゆる場所から実現できるようになります。Lucid は、Google、GE、NBC Universal などの顧客や、Fortune 500 企業の 99% を始めとする世界中の主要企業にサービスを提供しています。Lucid は、Google、Atlassian、Microsoft などの業界の主要企業と提携しており、創業以来、製品、事業内容と企業文化を称える各種の賞を多数受賞しています。詳細は lucid.co を参照してください。

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