重要ポイント
- 共感マップでは、ユーザーが何を言い・行い、何を考え・感じ、何を見て、何を聞いているかを捉えるために、4つの象限を用います。
- 実際の調査に基づいてマップを作成し、ユーザーのニーズに焦点が当たり続けるようにデザインします。
- 関係者と協働し、ユーザーのインサイトに関する合意を形成して、明確で優先順位の付いたタスクに落とし込みます。
- 摩擦のないユーザーエクスペリエンス(UX)デザインは、コンバージョン率を最大で400%向上させる可能性があります。
UX デザイナーや CX リサーチ担当者の大きな強みに、ユーザーに対する共感が非常に強いということがあります。こうした共感は単なる勘によるものではなく、定性的なフィードバックや調査に基づくものです。ただ、データがあまりに膨大だと、チームの他のメンバーにプレゼンするのも難しく、そうした情報から実行可能な計画を立案するのも簡単ではありません。
そこで共感マップの出番です。共感マップは、製品、マーケティング、セールス、リーダーシップなど、部門横断型チームが顧客に対する共通の理解を構築できる、わかりやすい視覚的なツールです。この記事では、苦労して勝ち取ったユーザーの共感を有意義に活用するために役立つ、便利な共感マップの作り方を説明します。
共感マップとは?
共感マップは、ユーザーの態度や行動について把握している内容をアウトライン化する4つの象限で構成されています。共感マップは、ユーザーを可視化し、そのニーズや欲求を理解するのに役立ちます。プロダクトのデザイン品質を向上させる強力な手段であり、チームがデザイン思考の方法論に従っている場合、共感フェーズに対する優れた補足となり得ます。

共感マップの主な利点は以下のとおりです。
- ユーザージャーニーを構築する:ユーザーを理解することで、ユーザーが製品とどう関わるかを予測できます。
- デザインを実用的に保つ:独創的なデザインプランがあっても、ユーザーが望むものではないかもしれません。共感マップを作成することで、機能をユーザーのニーズに合致させることができます。
- ユーザーのニーズを把握する:共感マップは、ユーザーの満たされていない深いニーズを見つけるのに役立ちます。
こんな風に考えてみましょう。例えば、サンタクロース役を買って出て、オンラインでこっそりプレゼントを購入するとします。もし、プレゼントをもらう人のことをよく知らず、「犬好き」くらいしかわからなかったら、買えるものは限られるはずです。
これとは逆に、その人について、ウィスコンシン州に住み、「キャセロール」という名前のグレートデンを飼っていて、ハイキングが好き、などの十分な情報があれば、その人に合った役に立ちそうなプレゼントを買えるでしょう。共感マップも同じで、デザイン関連で行う意思決定を明確にするのに適しています。
ユーザーをよりよく理解すればするほど、より大きな価値を提供できるようになります。共感マッピングは、ユーザーのために声を上げ、共感を呼ぶ製品を作る強力な方法です。著名な学者ブレネ・ブラウンによれば、共感は「つながりを生む」ものです。それは、単に相手のために感じるのではなく、他の視点を非常によく理解し、人々と共に感じる能力です。そのつながりが散発的なフィードバックを有意義な解決策に変えます。
アジャイルチームにとって、共感マップは、膨大なドキュメント作成に代わる共同作業ツールとしてよく用いられます。「10分ペルソナ」とも呼ばれる共感マップは、綿密な調査作業ではなく、短時間のチーム演習として作成されます。
共感マップの形式
共感マップの4つの象限には、次の内容が含まれます。
発言と行動
調査を通じてユーザーから得た直接の引用を含めてください。以下はその例です。
- クッキーを受け入れないといけないのは本当に嫌だ。そもそもクッキーが何なのかもわからない。
- ログインした後はどうすればいいの?
- このドロップダウンメニューは変だ。
ユーザーの行動からは貴重な洞察が得られます。口で言っていることと実際にしていることが異なる場合もあります。
こんな行動に気がつくでしょう。
- 本能的に上にスワイプする
- チェックアウト時に Apple Pay を使おうとする
- カートを放棄する
チームワークショップを開催している場合(インタビューをまとめるだけでなく)、顧客と接する関係者(サポート、営業、カスタマーサクセスなど)からの引用の言い換えや観察された行動を含めることもできます。ただし、実際の顧客エビデンスまで追跡できる場合に限ります。
考えや感情
この象限はある程度の推測を要します。というのも、実際にユーザーの考えを読み取ることはできず、感じていることが言語化されない場合もあるためです。しかし、気分、動機、反応、ニーズ、フラストレーションなどを含め、ユーザーのジャーニーの中でユーザーがどのように感じているかについて、根拠に基づいた推測を行うことは可能です。
以下は、ユーザーが抱くかもしれない思考の例です。
- ああ、立ち上がってクレジットカードを探すのは嫌だな。
- メールアドレスは教えたくない。
- なぜワンタップで友達と共有できないの?
以下は感情の例です。
- ページの読み込みが遅いとイライラする
- 情報を送信した後、確認メッセージが届いていないのではないかと不安になる
- 同じ手順を繰り返さなければならず、うんざりする
見える内容
ユーザーが、オンラインと物理的な環境の両方で自社製品とやり取りする際に何を目にしているでしょうか。例:
- 競合他社の広告
- 自席での作業
- 製品のデザイン要素
また、視線が最初に向かう場所、何に気づき、何を見落とすかといった注意の手がかりも捉えることができます。こうした細部は、混乱や離脱の理由を説明できることが多いからです。
聞こえる内容
ユーザーは友人やインフルエンサーを含む他者からどのような情報やフィードバックを得ていますか?
例:
- 同僚や同じ立場の人たちは何と言っているのか?
- 上司は何を伝えているのか?
- 口コミによる製品の推奨
各象限を埋めたら、トレードオフが生じたときにチームが参照できる、生きた信頼できる情報源としてマップを扱います。
共感マップを作成するための8つのヒント
適切に運用すれば、共感マップは、収益を向上させる優れたユーザー体験の提供に役立ちます。実際、Forrester の調査では、スムーズな UX デザインにより、顧客のコンバージョン率が最大400%向上する可能性があることが判明しています。
顧客中心志向がスピードと業績の両面で成果を生むことを示す強力な証拠もあります。Pragmatic Marketing は、ユーザーのニーズに注力する企業は新製品を市場に投入するスピードが2倍であることを明らかにしました。さらに、McKinsey の調査によれば、顧客体験を改善することで売上高は2%〜7%、収益性は1%〜2%向上しました。こうした成功の鍵は、お客様にとって最も重要なことに焦点を当てる、カスタマージャーニーに則したアプローチを採用することにあります。これにより、設計とサービス提供の取り組みを、最も大きな効果を発揮できる領域に向けることができます。
共感マップから最大の投資対効果(ROI)を得るには、以下のヒントを活用しましょう。
1. ユーザーを定義する
オンラインで共感マップを作成する前に、まずコアユーザーが誰なのかを明確にします。また、単一のユーザー向けにデザインするのか、それともユーザー層の一部を示すために調査結果を集約するのかも判断する必要があります。
次に、マップの中心に具体的な識別子を追加します。これは、名前、役割、あるいは写真など、抽象的なユーザーではなく実在の人物をマッピングしていることを強調するものです。共感マップは、グループに対しても、特定の個人に対しても作成できます。
2. 「発言や行動」から開始する
この象限は、情報に一次ソースを使用するため、最も簡単に埋めることができます。ここには推測は不要です。各引用と行動から、コンテキストを提供し、思考や感情を推測することができます。
3. 調査内容をまとめる
共感マップは、開発の調査部分が完了した後に作成します。マップへは、単なる推測ではなく、調査から集めた情報に基づき内容の追加を行うようにしましょう。こうした情報が、マップを裏付けるエビデンスとなります。
通常、共感マッピングはチームのアクティビティとして行われます。関係者全員が会議に集まり、対象となるペルソナに関連するデータ、インサイト、顧客からのフィードバック、経験を持ち寄ります。そこから、マップの信頼性を保つために、証拠に裏付けられた既知の情報と仮定に基づく情報を区別します。
4. こだわりすぎない
共感マップへの追加内容は確定したものではなく、チームメンバーからマップ内のポイントを変更する意見が寄せられることもあります。Lucid の AI 機能を使えば、それらの付箋を効率的に並べ替えて要約できます。Lucid では、キャンバス上でチームメンバーにタグを付けてその場で簡単なコメントをもらうことで、会話を途切れさせることなく進められます。
5. 改善する
共感マップにセクションを追加したい場合は、遠慮なく追加しましょう。イラスト、色分け、目標など、デザインを改善する可能性のあるものは何でも自由に追加できます。
加えて、共感マップを完璧に作ろうとする必要はありません。人間は複雑で、変化するものです。ユーザーのニーズが変化するにつれて、共感マップも進化させることができます。
実用的な改善策の一つとして、各象限の下にシンプルな「問題点と利益」の領域を追加することが挙げられます。これにより、チームは観察結果を、ユーザーが避けたいことと達成したいことに置き換えることができます。
6. マップを分析する
共感マップに情報を記入したら、ユーザーが製品を使用する際に解決しようとしている問題点を分析し、議論します。ユーザーが得られるものは何でしょうか?これを行うには、「ユーザーは__をする方法が必要だ、なぜなら__だから」という文の空白を埋めるのが手軽です。これらの「必要」という声明は、今の優先順位を導く上でも、後で追加の研究で検証(または反証)する上でも十分に具体的であるため、仮説として特に有用です。問題点と利益は共感マップの最も重要なセクションです。開発中に決定を下すために使用できる一種の仮説として機能し、徹底的なペルソナ研究でさらにテストできます。
7. シンプルに保つ
ユーザー分析は、あくまで製品に関連する部分に限るということを忘れないでください。対象のユーザーは人前で話すのが苦手かもしれませんが、開発中のカレンダーアプリには関係がありません。この点を念頭に置くことで、共感マップの作成もあまり構えずに進めることができます。
チームが行き詰まった場合は、ブレインストーミングの焦点を製品の文脈(日々の現実、不安、願望、環境、および社会的影響)に保つために、プロンプトを使ってみましょう。チームメンバーが自分の考えを共有する際には、リーダーはペルソナに関するより深いインサイトを引き出すために質問をすることがあります。
表面的なアイデアしか出ない場合は、さっとロールプレイを行い、行き詰まりを解消して、より現実的な言葉遣いや反応を見つけてみてください。
8. 相談する
1人で共感マップを作るよりも、作りながら関係者やチームメンバーにいろいろと相談してみるのがよいでしょう。マップがひとたび完成したら、どれだけユーザーを理解できているか、ユーザーに本当に共感できているか、付加価値を提供できる製品を作れることを嬉しく感じているか、チームで確認してみます。これができていない場合には、ボードに戻り、チームで共通認識ができあがるまでマップの調整を続けましょう。
共感マップは軽量なので、保存や再利用も容易です。次の取り組みのスタート時に参照できるプロジェクト文書として扱うと、いっそう便利です。
簡単なチーム演習
ワークショップで共感マップを構築する簡単で繰り返し可能な方法が必要な場合は、上記のヒントに沿った軽量なアプローチを使ってみましょう。
- ホワイトボードに四分割図を描きます。 ホワイトボードまたは仮想キャンバスに大きな X を描き、4つのセクションにラベルを付けます。
- アイデアをブレインストーミングし、ホワイトボードに追加します。各参加者が付箋に1つのアイデアを追加し、適切な四分割図に配置します。
- 共感マップを分析します。パターンを問題点と利益に統合し、それらを優先順位の高いタスクまたはテストする仮説に変換します。
テレワークまたは分散型の環境で作業している場合は、Lucidspark のような共有のオンラインキャンバスを利用すると、リアルタイムで共同作業しやすくなり、会議後も成果物にアクセスできる状態を維持できます。
共感マップを使って最初から正しく構築
今日のプロジェクトが失敗する最大の理由は、ユーザー中心の設計ができていないことにあります。こういったプロジェクトはそもそも誤ったプロジェクトであり、ターゲットとなるユーザーのニーズや欲求を満たしておらず、ユーザーにもビジネスにもほとんど、あるいはまったく価値をもたらしません。
だからこそ、共感マップには非常に価値があるのです。共感マップの作成は、ユーザーに対して不適切なプロジェクトや機能、体験を追求してしまうことによる多大なコストを回避し、最初から製品を正しく作れるようにするうえで役立ちます。共感マップは、初期調査の後で要件が確定する前の段階に特に有用で、チームがカスタマージャーニーにおいて最も重要な点で認識をそろえ、誤ったものを作ってしまうことを避けられるようにします。
次の取り組みに向けて、Lucidsparkで共感マップを作成してみましょう。今すぐ登録して、無料アカウントを作成しましょう。

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